大動脈解離

大動脈解離とは

大動脈の内側の壁に裂け目(エントリー)ができ、血液が壁の中に入り込んで、壁が二層に“はがれる”病気です。これは心タンポナーデ(心臓周囲に血液がたまり心臓が動かなくなってします)や破裂により心停止を招く場合や心臓・脳・腎臓・腸・足などへの血流障害を起こし、重篤な合併症を招くことがあります。非常に死亡率が高い疾患です。この疾患の可能性がある症状が出現した場合にはすぐに救急車を呼んでください。

症状(典型例)

  • 突然の激しい胸痛/背部痛(「引き裂かれるような痛み」と表現されることも)
  • 冷や汗、吐き気、失神
  • 手足のしびれ、ろれつが回らない(脳への血流障害)
  • 腹痛、足の痛みや冷感(臓器・下肢の血流障害)

分類(治療方針に直結します)

スタンフォード分類:大動脈解離の部位によって変わります。

  • A型:心臓に近い上行大動脈に及ぶ
  • B型:上行大動脈に及ばない(主に下行大動脈)

検査

造影CTが中心(必要に応じて心エコー、MRIなど)

大動脈解離の治療

スタンフォードA型(上行大動脈に及ぶ)

ほとんどの方が同日の緊急手術(人工血管置換術)が必要になります。迅速な治療が救命に直結します。当院での治療する範囲は、大動脈の内側の壁の裂け目(エントリー)の部位によって変更したり、年齢や全身状態によって救命第一優先とし適切な範囲を選択しております。手術は大抵の場合は大きな侵襲となります。術後のリハビリが非常に重要となります。

一般的な弓部人工血管置換術 (ヘルシスト295号より)

スタンフォードB型(上行大動脈に及ばない)

血圧コントロール、疼痛コントロール、安静(内科的加療)が必要になります。ただし、破裂が疑われる場合は臓器の血流が悪い、痛みが続く、拡大が進む等の「合併症」を伴う場合は、治療が必要になります。その場合も外科治療、ステントグラフト、双方の治療の可能性がございます。

慢性期(発症から時間が経った解離)

急性大動脈解離の保存加療後に「解離性大動脈瘤」として拡大し、動脈瘤となっていく可能性があります。外来にて定期CTで監視し、大動脈瘤として手術適応サイズまで拡大してしまう場合は待機的に開胸/開腹手術や血管内治療を行います。

大動脈解離は緊急手術が必要な場合が多い疾患です。当院当科では手術室や集中治療室が許す限り24時間365日手術ができる体制を整えております。そのため、当院へ救急搬送となった患者様はもちろん、他院からの転院搬送も受けておりますのでいつでもご相談ください。